インクジェット印刷とフォト印刷向けの画像準備と出力
大判インクジェット印刷とフォト品質のインクジェット印刷では、画像ファイルに求められる要件が異なります。以下では、入稿前に確認すべき実務上のポイントとして、パネルサイズ、解像度、カラーモード、黒の構成、保存形式を扱います。
仕上がりパネルに合わせたサイズ設定
大判インクジェットでは、画像サイズは仕上がりの展示サイズと同じにします。オフセット印刷と異なり、塗り足しは不要です。出力会社は通常、印刷パネルの周囲に白い余白を残します。一般には画像の有効領域の周囲約10cmで、ハトメ用にどの程度の余白を確保するかは出力会社と協議して決めます。価格は平方メートル単位で計算されるため、寸法はセンチメートルで伝えれば十分です。
解像度は出力装置に合わせる
大判の画像は非常に大きくなることが多く、オフセット並みの解像度を与えるとコンピューターに過大な負荷がかかります。また、決まった標準もありません。以下は、パネルサイズごとに私が使用してきた解像度です。
- 画像面積180平方メートル以上:11.25 dpi
- 画像面積30~180平方メートル:22.5 dpi
- 画像面積1~30平方メートル:45 dpi
ほとんどの大判機は11.25 dpi、22.5 dpi、45 dpiのいずれかで出力する設定になっているため、その解像度に合わせるとファイル処理が速くなります。フォト品質のインクジェット印刷では通常72 dpiが必要です。原稿が非常に大きい場合、たとえば実寸のPhotoshopファイルが400MBを超える場合は、その上限内に収めるために解像度を下げてもかまいません。
カラーモード:バナーはCMYK、フォトプリントはどちらでも可
大判インクジェットでは全体を通してCMYKを使用し、RGBは受け付けられません。機械は4色機であり、その色再現は印刷インキとは異なります。印刷標準に合わせてファイルを作成すれば、出力会社が校正(プルーフ)に合うようにパネルを調整します。フォト品質のインクジェット印刷ではCMYKでもRGBでもかまいません。RGBを使う場合、深い赤はCMYKの値、つまりM=100、Y=100で定義します。
黒は常に混色黒にする
どちらの工程でも、単一値の黒は認められません。黒にはC、M、Yの成分を持たせ、混色黒を構成する必要があります。リッチブラックはC=50、M=50、Y=50、K=100で作成できます。これは特にPhotoshopで効果を適用した場合に重要です。そうした黒い領域を4色黒に変換しないと、暗部に横縞が現れ、全体の仕上がりを損なうことがあります。
ファイルは非圧縮で保存する
原稿はTIFで保存し、同形式の圧縮版は避けてください。
線数の選択
線数は案件によって異なります。大判では通常30 dpi前後、フォト品質では72 dpi前後で、大きなパネルではどちらも下げることができます。私が使用した最も低い値は300平方メートルのパネルでの10 dpiで、さらに大きな案件は複数のファイルに分割できます。フォト品質の印刷は一般に50 dpi以上に保ちます。線数が低くても画像がぼやけるわけではなく、エッジの階段状のギザギザが強く出ます。逆に線数を上げて画像を拡大すると、画像は柔らかくなり、ギザギザは目立たなくなります。実際には両方向を併用できるため、案件ごとにバランスを判断してください。